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part.3 一組の冒険者が出会うまでを記録してみた。

  • 2020年6月25日
  • 読了時間: 9分

 皆さんこんにちは。

 ぼちぼち漆黒に足を踏み入れて、その構成のすばらしさに感動しているローエンです。

 

 さて、エオルゼアには、日々多くの冒険者が訪れています。

 一言に冒険者と言っても、一人ひとりにそれぞれの"物語"があります。

 今回は、普段一緒にダンジョンに行ったりしているだけでは気づけない

 冒険者たちの成り立ちを掘り下げたいと思います。

 ───ある日、焚き火に足を突っ込んで身体を鍛えているゆらちゃんに遭遇する。

(ゆらちゃんについてはこちらを参照→その出会いは、指先から始まった


───前から聞きたかったんだけど、りとかちゃんとゆらちゃんは、どうやって知り合ったの?」

 私とゆらちゃんたちとはつんつんで知り合ったが、この子たちはどのようにして知り合ったのか、とても気になった。


ゆら「聞いてくれるのうれしい!昔の話になるんだけど……」


 思えば、エオルゼアにやってきた冒険者たちの過去は明かされていない。

 冒険者として活動する以前の過去を、超える力で見ることもない。

 これは、知られざる冒険者の過去について知るチャンスだと思いインタビューを試みたところ、ゆらちゃんたちは快く承諾してくれた。

 そのためには、もちろんゆらちゃんの相棒であるりとかちゃんの存在も必要不可欠である。

 ゆらちゃんは、隣にそっと寄り添うりとかちゃんの過去について語ってくれた。


ゆら「りとかに最初に会ったときは驚いたよ!子供みたいで…今も子供だけど」

 ことはゆらちゃんが、まだエオルゼアにて駆け出しの冒険者だった頃に遡る。

 彼女は、元々エオルゼアの住人ではなく、異世界からいつの間にかこの世界に喚ばれていたらしい。

 それこそ、最初は文字の習得や言語の理解など、多くのことを学びながらのスタートだったが

 異世界でも冒険者稼業のようなことをしていたことから、食い扶持には困らない程度にギルドから信頼されていたようだ。しかし……


「え?相棒?」

エオルゼアにおいて、今まで単独で冒険していたゆらにとっては、そう聞き返さざるを得なかった。


「今回の“特殊なアダマントータス”は非常に危険な依頼になるのよ。もう何人も犠牲者が出ている……とてもじゃないけれど、1人では任せられないという方向で決まったの。

 例え貴方が、腕利きの冒険者でもね」


クイックサンドのモモディは、数多の冒険者にこうして仕事を与えているが、頼むべき相手を見誤って死の危険に晒すのは最も避けたい事態である。

リスクを回避したい冒険者ギルドの意向も汲み取り、単独で危険な任務に挑もうとするゆらを断った。


最近、モモディに世話になり始めた駆け出しの冒険者なのに関わらず、幾多の蛮神問題を解決に導いてきた実績を持ち、ベテラン顔負けの実力者であることは誰もが認めていたゆら。

モモディ自身も、恐らくゆら1人でも挑めるであろうとは感じていたが、万が一に備えてここは身を引いてもらう事を選んだのだろう。


「そ、そうか……じゃあ……出直してくるよ」


相棒になる人のアテもないゆらは落ち込まざるを得なかった。


「……あまり気落ちしないでね。何かあれば相談に乗るわよ。

……でも、人生相談はお断り。恋愛相談なら考えてあげてもいいわ。ウフフ」


モモディの励ましに対しても、ゆらは無理やり微笑んでその場を後にするしかない。

 孤独感に苛まれながらもクイックサンドの階段を降りて出て行こうとした時、

 折れた両手杖を前に地べたに座り込んでいるミコッテ族を見かけた。

 よく見れば服もかなり乱れているし、よくわからない事を言いながら叫んでいる。

「んに〜〜!!!いや!リトカいや〜〜!!」

あまりの奇抜ぶりに、気付けばゆらはその子を見つめてしまっていた。


「あ!!」

その子と目が合ってしまった時、このままではいけないと気づく。


「ま、待て……こんな所では良くない、取り敢えずこっちに!」

その子の手を引き立ち上がらせると、杖などもすべてゆらが持って人目のない場所まで連れて行った。

「ふう!あんなに人目の多いところで肌着を見せちゃダメだぞ」


そう言って改めて顔を見ると、随分と可愛らしい顔をしている。

だが動きは忙しなく、一向に落ち着かないので無理やり服を整えてやる。


「小柄だし可愛いし、拐われでもしたら危ないからな、気をつけ……」


「リトカはとってもつよいんだよ!あのねだってばーんってできるしだれよりもつよくってリトカすっごいんだもん!だってねだってリトカ、えっと、そしつ!があるんだもん!もやすのだってひやすのだってじょーずで」


ゆらの忠告を聞いているのか、いないのか。突然、言葉を挟んできた。

それも絶え間なく喋り続け、反論が来るとは思っていない話し方だ。


もしかすると、さっきの状況が危険だと気付けないあたり適切な保護が必要な子供かもしれない。

「ええと……リトカ?リトカは自分が何歳なのか分かるか?あと、親はどこに……?」


「リトカ?リトカはたちだよ!は!た!ち!大人でしょ?」


「二十歳?」


思わず、聞き返してしまった。

“はたち”というのは“二十歳”のことで合ってるよな?

そう考えてしまう。


ゆらがエオルゼアにきてから、文字が滞りなく読める程度にはなったが、ミコッテ族の成長などに関しては不明な点が多い。


だが、どう見ても言動からして二十歳には見えないし、二十歳な事を大人だと言い張るあたり、背伸びした子供だと考えるのが妥当だろう。


しかしながら、破損しているとはいえ戦闘用の両手杖を持っていた辺り冒険者見習いか何かである可能性も考慮して、念の為モモディに“リトカ”の事を知らないか聞いてみることにした。



「相談事に乗るとは言ったけれど……まさか家出娘を連れてくるなんてね」

モモディは、少し困ったような表情を見せながらも微笑み、リトカを見やった。


「いや……家出娘かどうかすら分からないんだ。冒険者としての登録はされてないか?」

“リトカ”の名前と顔だけを頼りに、分厚い本から登録された冒険者を確かめるモモディ。


「……無いわね。それに、私はその子を一度も見た記憶がないから、どこか他の地域から来たんじゃないかしら?」


「そ、そうか……」


そんな2人の頑張りをよそに、お腹が空いていたのか一心不乱にパンを頬張るリトカ。

「ともかく……家出娘なのか捨て猫なのかは分からないけれど、拾ったのならしっかり面倒をみてあげないといけないわね」

モモディに言われずとも、声をかけた時点でゆらは面倒を見る気でいたのでその心配は無かった。


「大丈夫だ、声をかけた以上は責任をとる。少なくとも親が見つかるまでは」

 その言葉に反応したのか、リトカはちらりとゆらの方を見た。

───なるほど……それが、二人が出会うきっかけだった訳だね。


ゆら「そう、最初はリトカの親を見つけるために面倒を見るつもりだったんだけど……」

 その後親を見つける為に2人で中央ザナラーンの方面へ出た時、通常個体よりも眼が血走り息の荒いアダマントータスを見かけてしまった。

 明らかに様子のおかしい個体。あれがモモディの言っていた依頼の魔物に違いない。


「あれは危ないから近寄っちゃ…………あ!リトカ!!」

ゆらが忠告するより早くリトカはアダマントータスに近づき、折れた杖を手に呪文を唱え始める。

何がなんでもリトカを守らねばならない一心でリトカの元に駆け寄ると、その頃にはもう詠唱は終わっていた。

アダマントータスを包む激しい炎が2人を熱く照らす。


「う、うわっ!」

思わず腕で顔を覆ってしまったが、次にアダマントータスを見る頃には大きな轟音と共に地に臥せていた。

「リトカ!?」

目前で何が起こったのか、理解するのに時間がかかってしまう。

あの幼い言動をしているリトカが……

……魔法を?

それも……禁忌とされている黒魔法を?

未だ信じられないが、リトカが服を引っ張り

お腹が空いたと連呼するので取り敢えず、近場にあるコッパー&コフィンで食事を兼ね休憩をする事にした。

 そこに着いた瞬間、リトカは(勿論ゆらのギルで)高く沢山の食べ物や飲み物を頼み、嬉しそうに食べていた。

あまりに一心不乱に食べるものだから、詰めてしまいそうで不安で仕方がない。

「ゆっくり食べるんだぞ!」

 既に、黒魔法を使った時のリトカとは打って変わって子供らしい姿に戻ってしまったが、

黒魔法。それもあんな高威力の魔法を瞬時に操る巧みさは忘れられなかった。

 何度頭の中で反芻しても、あれは間違いなくリトカが唱えた呪文によってアダマントータスは倒れている。

 悶々と1人で考えるより、本人に聞いてしまった方が良いかと、ゆらはリトカに聞く事にした。

 

「どうして、あんな技を出せるんだ?」

するとリトカは にー! と叫んでから答える。


「リトカ!リトカとってもつよいでしょ!あのね、じゅじゅつしだもん。じゅじゅつでしかえしするんだもん!リトカはわるくないもん!!」


「……仕返し?誰かに?」


「みんなに!リトカのこといぢめてきたヤツら、ぜんぶぜ〜んぶしかえしするもん!リトカとってもつよいから!そしたらだれもリトカにわるさなんかできないよ。だってリトカがつよいんだもん!リトカにわるさできないようにしてやるの!これからずっと!みーんな!」

子供故の純粋さかは分からないが、話を聞く限り復讐に囚われているようだった。

このまま放っておいたら、もしかするとリトカは冒険者として、いや、人として、足を踏み外すかもしれない。


それにゆらは、先程モモディに“相棒”の大切さを説かれた事も同時に思い出した。


……一緒に冒険すれば、自分は相棒がいる事になるし、リトカは力の使い方を誤らないしで良い事ばかりなのではないか?

この娘と共に暮らすのは骨が折れるだろうが、それもきっと楽しいはずだ。

 「……そうだな。強くなったら良い事が沢山あるな。復讐や、怖がらせる事だけじゃなくって、大切なものを守れる様になるかも知れないな。リトカの場合、大切なものっていうのが自分自身だっていいんだ」

そこまで言って一呼吸おく。

改めて言うと、緊張する気がしないでもない。


「……もし良かったら、私と一緒に。

……一緒に、各地を冒険しながら旅をしないか?親の手がかりが見つかるかもしれないし、もっと、強くなれるかもしれないから」

軽く緊張するゆらに対して、リトカは軽く


「それってまいにちかかさず、おいしいごはんがたべられる?ふっかふかのおふとんでねむれる?」

と答えた。


「あぁ、2人で頑張ればきっとな」


「わかった!じゃあ、リトカ冒険者する!」

あまりに純粋な心で答えられるものだから、利用してしまっている様な、そんな気持ちになって少し心苦しいゆら。


だが、その代わりキチンと面倒をみて絶対に楽しい旅にしようと心に決めた。










↑回想に割り込んで見守るローエンの図


───そこから、二人の冒険が始まったんだね。

ゆら「そう!こうしてアタシたちは出会ったの」

りとかちゃん「ぶい!」


 りとかちゃんが何故、階段の下に座っていたのか。

 いったい、どのようなことがあってそこまで来たのか。

 ゆらちゃんは、今までどのような冒険をしてきたのか。気になることは尽きない。

 

 ほんの少し掘り下げただけでも、物語がある。

 普段、何気なくそこらへんを歩いている冒険者にも、様々なプロセスがあるのだと思う。

 現在、二人はコンビで立派な冒険者として活躍している。

 共に歩み、泣き、笑い、生活しているようだ。 


 きっと、これからもこの二人の物語は続くのだろう。

 二人のファイナルファンタジーが、今後とも実りあるものであることを著者も祈るばかりだ。




 ……っていうか、そういう出会い、してみてぇなぁー!(笑)と素直に羨ましいと思う著者でした。



つづく


 
 
 

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​著者:ローエン

2015年から冒険者稼業を始めました。

争いごとから離れてしばらく引退していましたが、友人に誘われて2020年に復帰。

現在は、冒険者の歩んできた物語や、エオルゼアで見てきたものを記録しています。

この探訪記が、新たにエオルゼアへ降立つ人たちへの参考になれば幸いです。

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